ある日、全く商品の操作方法などがわからない、と仰るお客様からの電話で、私は根を詰めた説明をねばり強く繰り返していました。お客様もとても頑張って下さり、2時間という長丁場の末、なんとか解決に至ったのです。ホッとしました。そして、お客様はとても丁寧にお礼を述べて下さり、こんなに丁寧な対応をしてもらったのははじめてだ、かけてよかった、ありがとう、と何度も繰り返して電話を切られました。
私の胸の中にあった感情はホッとしたでも頑張って良かった、でもなく、お客様のためになって成功した、でもありませんでした。普段ならとても嬉しく受け止められるその言葉さえも、疲れ切ってすり減った神経には何の感動も起こさなかったのです。そのことに自分で驚き、そして、これだけお客様からの反応を頂いてもモチベーションに変換する力がないなら、辞めた方が良いんじゃないか…。そんな風に思ったことをよく覚えています。
ほどなくして私は退職しました。お客様の声を有り難く受け止められない状態はとても申し訳なく、続けていく自信を失ったからでした。もうこの仕事はいい、他のことをしてみよう。考えをシフトするきっかけになった、転換点の出来事です。